2/04/2011

新年会プラス「yoyochu sexと代々木忠の世界公開中トーク」

第44回楽生曾シネマDEりんりん、新年会プラス、無事終了しました。

 今年最初のシネりんは新年会と、公開中の映画「yoyochu sexと代々木忠の世界」の公開中トークとしまして、監督の石岡正人さんにお越し頂きまして、色々とお話をお伺いしました。
 まず最初に石岡監督にお聞きしたのは、石岡監督と代々木忠監督の関係からです。
石岡監督は6年ほど、代々木監督の助監督を経験し、AVの作品も作られたと言うことで、現場での代々木監督の姿勢などもその時、じかに体験したそうです。
普段は温厚な方ですが、少しでも怒り出すと、怖い面もあり、まあ、元やくざの世界に いたから、不本意な事には容赦しないと言う感じの様子。
 「yoyochu」の映画冒頭は代々木監督の少年時代、小倉時代の話からはじまり、大阪の華道家になるまでの話、そして、やくざの親友に頼まれ、ふたたび小倉へと移り、やくざの世界で組織を動かして抗争した話へと流れて行く。
 そこで、石岡監督にその辺のところで、映画では語られていないお話なども少し踏まえて聞いてみた。
 その当時はストリップの興行などが始まりだした初期のころで、ストリップで働く女性を軟派して探してきたり、剣劇などの劇団でだんだんと人気もなくなり、途方に暮れた女の子をスカウトしたりして興行を行なっていたと言う。
女の子を騙して働かせる人非人の様な ひどいこともしていたと言うが、その辺の詳しい話は、代々木監督の著書や映画を読み解く本として発売されている東良美季著「虚実皮膜」などをご覧頂くと良いと思います。
ただこのころの経験が代々木監督が女性を学ぶ上で非常に勉強になったとも言えるらしい。
 手打ちによりやくざ時代に終止符をうち上京、その時に3人いた愛人も代々木監督と供に上京し、知り合いの所に居候して3人の愛人に食わせてもらうヒモの様な生活をしていたと言う。3人の愛人はストリップで踊り、暇な代々木監督は、コメディアンの方たちと昼間マージャンをしていたりしたと言う。
 そんな中、昔興行の世界にいたと言うことで、踊りの振り付けや色々と手伝うことになり、撮影に来ていたピンク映画の世界にもその当時興味を持ち、ひまなので手伝いがてら、経験を買われ、脚本なども書いたりしていたと言う。
 映画業界と言えば映画五社の伸びも陰りだし、ピンク映画はそんな中でも人が入り儲かると言うところから、日活が、ロマンポルノとしてピンク映画の製作に参入して来たと言う。
当初はポルノロマンと言う名前にしようとしたがロマンポルノで落ち着いたなんて言う裏話もしかり。
 日活は転身したロマンポルノで大成功を収める。
 しかしそれに目を付けたのは警察で、その勢い事態が、わいせつと言うものを世間から無くしてしまいそうだったところから、ロマンポルノの何期目かの制作作品に照準を合わせて日活ロマンポルノ裁判として映画史の中でもまれにみる離面史として語り継がれている裁判に進んでゆく・・・詳しくは映画「yoyochu」や映画史を勉強下さいませ。
 日活ロマンポルノ裁判で唯一、部外者(下請け会社)で訴えられたのが代々木忠監督で、下請け会社の制作が罪をかぶると言うのはある意味生贄にされたのと同じらしく、いきなり副社長の役職を会社から受け渡され被告となり、この裁判で無罪判決を受ける80年まで戦わなければならなかったと言う。
 では、代々木監督がピンクからAVに移るのは、その辺の所が大きいのかと思いきや、それ以外でも日活がピンク市場を維持するために、ライバルである下請けいじめが行なわれ、お金の不払い、女優の出演キャンセルとひどいいじめに会いながらも、代々木監督のピンク映画(手法として、当時ビデオで撮りキネコでフイルム上映した)からは愛染京子さんが出てきてヒットし、そのビデオ手法でしか出来ない長回し「ザ・オナニー」などのピンク映画であるのにドキュメンタリーと言う、今までに誰も見たことのない影像が飛び出し、大ヒットを記録する。
恐らく代々木監督は日本で始めてビデオカメラを使いこなした人であり、AVを創り出した人でもあるとの事。
 また、ビデオデッキの普及に大きく貢献したのは、実はAVで、大手電気メーカーの小売店が、ビデオデッキを買うと、もれなく1本アダルトビデオが付いてくると謳い、普及に拍車をかけたと言う。
この戦略に乗らず正攻法で攻めたソニーのβがVHSに負けたと言う都市伝説は、ここから生まれたらしい。
 まあ、こうしてピンク映画の世界は80年代を境に衰退して、アダルトビデオが主流になり変わる。巷ではレンタルビデオのショップが過当競争を繰り広げ、現在に至っている訳である。
 石岡監督に代々木監督の作品世界の凄さについても聞いてみた。
  代々木監督のAVの凄いところは、単なる抜きの映像ではなく、長回しを早送りせずに固唾を呑んで見せてしまう表現方法にある。
 また、チャネリングや多重人格の様なAⅤとしてありえなさそうなシチュエーションでの作品も多く、実験的に行き過ぎると、引かれるが、その作品を引かれたままにせず観客側の世界に戻り、エンターテインメントとして送り続けているところが唯一無二の映像作家であるとも言えるそうだ。
 一時期、そんな作品が多く代々木監督は宗教の世界へ行くのではないかと言う噂まで流れたくらいである。 そんな話を聞きながら、わたしが思った一番の凄さは、72歳で現役のAV監督でありコンスタントに作品をリリースしていると言う事実と、実はもう10年以上も前からつづいているシリーズがあると言う事だ。「ザ・面接」と言うシリーズは初期のころ見て面白いと思い何作品かは見てきたが、いまだに続き、通産で120タイトル以上のリリースを続けていると言うことだ。
これは本当に凄いし、そこまで人気が保てる作品は今後登場しないのかもしれないと思う。
 他にも色々と「yoyochu」のお話を伺いましたが、まあ、ライブでのトークとして楽しんで頂いた方達の受け取り方は人それぞれ、文章ではこの辺の面白さを生かせませんです。はい。
 映画「YOYOCHU sexと代々木忠の世界」、銀座シネパトスと渋谷アップリンクファクトリーxにて絶賛公開中ですので、みなさん是非足を運んで下さいませ。
・・・・・地方の方も公開される祭には是非足を運んで下さいませ。