1/26/2014

映画「サイドウェイ」の原作者レックス・ピケット氏に会ってきた!


「サイドウェイ」原作者のレックス・ピケット氏と

かれこれ10年ぐらい前になるかな…シネりんの前身である異業種交流ワイン会(楽生會)を開催していたときに、筆談ホステスの仕掛け人であり銀座のクラブの社長であるHさんからワインはピノノワールが美味しくて、口当たりがいいから女性向けだよと教えてもらったことがある。

ワインの知識はゼロに等しいのにワイン会を開催していたわけだから、これには見るに見かねてアドバイスをいろいろとしてくれたのもうなずける。(感謝!)
そのおかげで少々ワインに興味がわいてきて、Hさんの言うとおりピノノワールにワインを変えると参加してくださった特に女性たちの受けが大変よかったことを思い出す。
そんなときに「サイドウェイ」が日本で公開された。私のワインに対する考えが変化したころの2005年のことだった。

この映画は2004年製作アメリカ映画。アメリカで公開されるやいなや国内外で高評価を獲得。アカデミー賞をはじめとする映画の各賞をなんと350も受賞している作品だ。

この「サイドウェイ」をもちろん私も期待を抱きながら公開時に見た。主演があの大好きな「アメリカン・スプレンダー」のポール・ジアマッティ監督は「アバウト・シュミット」のアレクサンダー・ペイン。高評価だからというよりもこの取り合わせは見るしかないなぁと感じたからだ。

内容はというと、キャラ(性格)が正反対の中年男2人のワインロードを行くロードムービードラマ。人の人生をワインに喩えた、笑って笑ってホロッとくる、タイトルのごとく「寄り道映画」なのだ。   なぜかこのようなシチュエーションもそそられる。そして見た感想も、期待どおりだった!!!


ホールフーズ(Whole Foods)店内にレックス・ピケット氏が来るという宣伝が…!


この作品で一躍有名になった作家レックス・ピケット氏が、なんと我が家の近くにあるホールフーズ(Whole Foods)というオーガニック系の食品をメインに取り扱うスーパーマーケットに参上するという情報を1週間前にゲットした。行こうかどうしようか迷い、シネりん顧問の二井氏にこのことを メールすると、さすがわが顧問、レックス氏のことは知っており、こんな返答だった。

―「サイドウェイ」の原作者は、レックス・ピケットという人です。ワインにちなんだ話がたくさん出てくる映画なので、このピケットさんも、当然、ワインについて、たいへん詳しい人と思います。ぜひ、参加されたらいかがですか―。

この一言でシネりんのメンバーに何かを伝えられると思い、行くことを決意。さっそく友人を誘って、行ってみた。とりあえず日本でゲットした「サイドウェイ」のDVDも携えて行ってしまう用意周到さ!

今回のお店の催しはワインコーナーでピノノワールなど映画にも登場したワインの試飲会、そして作者の本の販売サイン会だった。

有名作家さんだからさぞかし人だかりだろうと思いながら行くと、思ったほど人はそんなにいない!しめた! レックスさんはそばにいた男性と話し込んでいたが、これはゆっくりとお話ができるぞ!と思い、まずは彼の目の前に置いてあった彼の本(サイドウェイ)をわざとらしくペラペラとめくってみた。すると彼はやっと私たちに気がついたようで、この本がほしかったらサインしてあげるよと言って、もう書く態勢に入っていた。

もちろん記念になると思い購入を決意、サインをしてもらった。
サインをしているときに私は日本人だと話しかけた。すると、彼はニヤリと笑って、実は「サイドウェイ」は日本でも映画化されたんだよと教えてくれた。そこから怒涛のごとく日本映画の話で盛り上がってしまったのだ!もちろん日本から発売されたDVDも見せると異常に喜ばれ、そばにいたアメリカ人男性はiPadでこの写真を撮るほどだった。(もちろんこのDVDにもサインしてもらった!^^)


レックスさんから購入した本「サイドウェイズ」

もちろん、最初のとびらにサインをしてもらった。


実はレックスさんは日本の昔の映画の大ファンで特に溝口健二監督と小津安二郎監督の大ファンだとか…。溝口、小津、黒澤、篠田、大島は日本映画の5大監督だと言っていた。それに比べ最近の日本映画はあまりよくないねえという辛口批評まで飛び出す始末。

日本版「サイドウェイズ」に関しては自分の思い通りの作品に仕上がっていないと、またまたこれも辛口。どうしても日本をマーケットにして作られた作品なのでしかたがないか…とも。こんな感じで
ワインの話やサイドウェイのストーリーについて聞くことよりもすっかりレックスさんの日本映画論に話は持っていかれた形だ。(汗)  でもこんなこともお話してくれた。

なんとおどろくことに原作ではサイドウェイ2にあたる 「ヴァーティカル」(”Vertical")という本を書き上げていたとのこと。(この意味を調べてみると垂直のとか直立したという意味。)そして去年までチリにいてチリワインを題材にサイドウェイ3を書いていたことがわかった。

これを期にサイドウェイのことをもっとリサーチしてみたくなり家に帰っていろいろと調べてみることにした。すると意外なことがまたまたわかった!

 「ヴァーティカル」は(続編のタイトルを見て想像が付くと思うが、)サイドウェイのさえない2人がその後、成功して女性に困らない生活を送っているという設定から始まる。生活面では男としてもヴァーティカルになったということなのか!? 実際、読んでいないのでどんな感じのストーリーかは割愛させていただく。

それで1作目のさえない男2人は原作ではどうしようもない飲んだくれとして描かれており、サイドウェイとは、寄り道という意味で捉えていたが、実はワインを飲みすぎてべろんべろんになり横になった状態のことだったということがわかった。
映画では、どうしようもない男でもかわいげがあるどうしようもなさだった…。原作はもっとどうしようもないのか!続編のタイトルを見て成功したあとの話とくれば、サイドウェイというタイトルの意味は人生の寄り道という意味以外にも、酔っ払ってのびている状態という感じに受け取ることもできるだろう。

話はホールフーズの場に戻るが、最後に日本で映画の会をしていることを彼に話した。なんとレックスさんは「日本に呼んでくれればあなたの会で喜んでお話をすることができるよ!」と言い個人のメールアドレスまで教えてくれた。

しかし、有名作家である彼を呼ぶことは日本へはファーストクラスのフライトを用意しホテルもそれなりに…ギャラも高いということを意味する。
がんばってあなたを呼べるように努力しますとだけ伝えておいた。←日本人の性ですなあ。

スポンサーになってくれる人がいたら彼に連絡がとれるのでご興味のある方は是非連絡をしてほしい。

なんだかとんでもない展開になってしまった彼との出会い、まずは英語版の「サイドウェイ」を作者から購入できたのだし、その記念にがんばって読んでみようと思う。映画に出てきたピノノワールの味も変わるかもしれない…。


本家本元の「サイドウェイ」アメリカ版



2009年に製作された「サイドウェイズ」日本版